いくら見ていても飽きない
蜂場で内検中の遠藤卓弥さん
「伯父も20年くらい養蜂をやっていたんですよ。それで、自分で採った蜂蜜を食べたいなとずっと思っていたのが(養蜂に興味を持った)動機ですかね」と遠藤さんは言う。しかし、私は遠藤さんのその言葉では、腑に落ちていなかった。
取材2日目の夕方、仕事を終えて遠藤さん宅の居間で妻の知佳(ちか)さん(43)も一緒にお茶をご馳走になっている時だった。遠藤さんが養蜂をやってみたいと思った「原点は何か」という話になった。「伯父が20年以上養蜂をやっていたから」とか「世の中では一番美味しいものって売ってないですよね。それなら自分で……」など、それらしい動機は出てくるが、何かが違うと感じていた時、知佳さんがふっと「藤原養蜂場のお店に行った時は驚いたよね」と話し始めた。
ここの蜂場の難点は水がないこと。自宅からタンクで運ぶ
5年ほど前に盛岡市内にある大手養蜂業者の店舗に行った時のことだと言う。「蜂蜜が入っているアイスクリームが美味しいというので蜂蜜屋さんに行ったら、店内で蜂を飼っていたんですよ。前面がガラス張りになっている巣箱で、蜜蜂をじっくり見たのは、その時が初めてですもんね。ガラスの中の蜂を見ていて飽きないんですよ」と遠藤さん。知佳さんが「そんなに見るの、もういいんじゃないの」と声を掛けても、「もうちょっと」と言って蜂に見入っていたという。「いくら見ていても飽きないんです。その記憶は鮮明」と遠藤さん。「基本的に生き物が好きだもんね」と知佳さん。
巣門近くで立ち止まる蜜蜂
Supported by 山田養蜂場
Photography& Copyright:Akutagawa Jin
Design:Hagiwara Hironori
Proofreading:Hashiguchi Junichi
WebDesign:Pawanavi