蜜が濁っていたら駄目
尾奈上蜂場で細谷一真さんが蜂の餌にする砂糖水を運ぶ
「僕が転職してきた当時の蜂は200群ほどでした。熊本県の西岡養蜂園(「羽音に聴く」70号https://littleheaven-bee.jp/70/参照)で修業をしてきた先輩が居て、5年間は一緒に仕事をしましたけど、その先輩は去年、退職されたんです。うちのみかん蜜は日本一だと思いますよ。今年から全群に隔王板を入れまして、一層透明度が増しました。商品棚に並んでいる自分で採った蜂蜜にめっちゃ感動しましたね。やっぱり蜜が濁っていたら駄目ですもんね。蜂場が8か所あるんですけど、蜂場ごとに味が違います。ちょうどゴールデンウイーク、5月の頭ごろは、みかん以外の蜜は入らないです。みかんの花が咲き始めて2、3日目に掃除蜜を搾って、花が終わる直前に採蜜を終えます。2週間の勝負なんです。三ヶ日みかんの単花蜜に拘っていますからね。「三ヶ日みかん蜜」が命なので、ここは厳密にやります。農家が作るみかんの品種も、ほとんど早生温州みかんと青島みかんに限られていて「三ヶ日みかん」というブランドになっているんです。うちの蜂蜜が駄目だと、三ヶ日みかんのブランドも汚してしまうことになるので、そこは拘りますよね」
本坂蜂場で内検をする石川裕児さん
ここまで一気に石川さんの話を聞いてきたが、一緒に出迎えてくれた黒澤和さんが口を開いた。「隔王板を入れることで分封熱が高まりますけど、プラスチック製の巣礎を使うと雄蜂を産まないで働き蜂ばかりが生まれますので、ある程度は分封熱を抑えることができますね」。黒澤さんの横で「隔王板を入れたら、ほんと(蜂蜜が)きれいで……」と、石川さんが再び呟いている。
本坂奥蜂場で蜂に砂糖水を与える細谷一真さん(左)と内検をする黒澤和さん
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