熱帯果樹園にしようとした土地
佐敷蜂場で勉さんが巣板の状況を確認する
勉さんに他の蜂場も見せて欲しいとお願いする。午後2時半からの蜂針治療が終わった後に案内してもらったのは、那覇市から南東へ軽自動車で30分ほどの佐敷蜂場だ。舗装された農道から未舗装の小径に車を乗り入れて止めると、勉さんはさっさと先に見える森の中に入っていった。追いかけるように森に入ると、深い緑色の木草の中に白く塗られた巣箱がきれいに並べてある。
「ここの蜂は種蜂出荷用で50群ほどかな。僕がやっている時は全部で200群ほどだったからね、それもあっちこっちに置いてあって……。それを一人でやっていると忙しくて他には何もできませんでしたよ」
女王蜂が卵を産む巣房を探している
午後4時過ぎ、陽はすでに傾き始めている。木立の間から蜂場に夕陽が射し込み、ちょうどスポットライトを当てる様に勉さんを照らし出している。勉さんは、ここでも面布も手袋も着けていない。特にしなければならない作業はないので、目の前の巣箱の蓋を開けて巣板を取り出すと「おっ、女王が居ますね」と、私に写真を撮るように指を差して促す。私が女王蜂の撮影を終えると、さっと巣板を巣箱に収めて車に向けて歩き出した。日没までに次の大里蜂場へ到着したい気持ちが伝わってくる。後を追うように急いで車に乗ると、勉さんはすぐに発進した。私は面布と手袋を着けたままだ。車の中で勉さんが話し始めた。
「次に行く大里蜂場は、店から直接だと南へ車で40分くらいかな。熱帯果樹園にしようとした土地なんですよ。マンゴーやリュウガン、レイシなどの苗を台湾から取り寄せて、蜜源になる植物を植えたんだけど、ススキに負けてしまってね。パパイヤとバナナも植えたんだけど、パパイヤは鳥の餌になってしまい、バナナは採りに行く時間がないもんだから、実は生ったんだけど真っ黒く腐ってしまって、全然お金にならなかったな」
佐敷蜂場は種蜂出荷用の蜂が50群ほど置いてある
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