2026年(令和8年3月) 90号

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人為的ミスですもんね

 聖也さんが運転する軽トラックの助手席に乗せてもらって到着したのが多久市内の田柄蜂場。越冬後、3、4回目の代用花粉団子を与える作業と翌朝に伊万里市の蜂場へ移動させるための荷造りが、この日に予定した作業だ。

 「伊万里(市)の蜂場近くの田んぼでは4月始めからレンゲ(蜜)が採れるし、5月中旬過ぎにはハゼ(蜜)が採れるんです」と、聖也さんが運転しながら教えてくれる。

 別の軽トラで田柄蜂場に到着した正広さんが、作業前の燻煙器を準備している間に、聖也さんがビニール袋に包まれた代用花粉団子を巣箱の上に一つずつ置いていく。正広さんの準備ができると、蜂場の端の列から内検が始まった。正広さんと聖也さんがそれぞれに巣箱の蓋を開けて蜂群の様子を確認すると、代用花粉団子を包んだ袋にカッターナイフで切れ目を入れてビニールを剥がし、巣枠の上に被せるように置いて掌で押し付ける。最後は、給餌箱の外側に置いた巣板と内側の巣板との間に12ミリ厚の木片を挟んで、外側の巣板を釘で止める。移動中に巣板が動かないようにするためだ。

 作業をしながら聖也さんが正広さんに問い掛ける。「(代用花粉団子を)2個ずつやった方が良かろか」。「うん」と正広さんが短く応える。正広さんの右手は無意識のように巣門の前を覆うように伸びている草をむしり取っている。

 代用花粉団子を一つ与える群と2つ与える群がある。聖也さんに何を規準に一つと2つの違いを決めているのかを尋ねた。

 「蜂数の多いとには2つ、少ないとには一つ。今からは自然の花粉が入ってくるから、今、あんまり多くやると、今度は代用花粉団子が残ってきますからね」

 一時間ほどで田柄蜂場の作業は終わった。作業は順調に進んだが、途中の一群だけ聖也さんが代用花粉団子を与えないで蓋を閉めた巣箱があった。その理由を聖也さんに聞いた。

 「あの群は、蜂数が少ないけんと思って、この前の餌やりの時に餌をやっとらんで……、ほとんど死んでしもとって……。人為的ミスですもんね、一番やっちゃいけんこつですもんね」

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