2026年(令和8年3月) 90号

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5月までに1000枚の巣枠

 田柄蜂場での荷造りが終わったのは午後3時半、自宅の作業場に戻って夕方まで巣枠作りだ。薪ストーブに赤い炎が揺れている作業所には、正広さんが表具屋時代に使っていた木工機械が据えてあり、表具屋の技術を持ってすれば板材から巣箱や巣枠の材を切り出すことは難しくはない。ちょっとした時間の合間に数枚ずつでも巣枠を作れば、聖也さんの言う「最盛期に入る5月までに1000枚の巣枠を作る」という目標に一日一日と近づくことができるのだ。

 薪ストーブに近い作業場の奥で正広さんが準備してあった巣枠の木材をエアタッカーで組み立て、手前のテーブルでは聖也さんが巣礎を貼り付けるための針金を張っている。お互いに言葉を交わすことはないが、正広さんが巣枠を組み立てる速さと聖也さんが針金を張る速さはほぼ同じ。静かな作業場に正広さんがステープルを打ち込むエアタッカーのタン、タンという音が響く。

 床に丸く束ねて置いてあったエアタッカーの予備の延長ホースに、撮影していた私の不注意で靴が触れてしまった。私がその場を離れた後で、聖也さんがそっと延長ホースを側のコンテナの上に置き直しているのが目に入った。細やかな気遣いに驚いた。

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