敵を知るモニタリング
巣箱の下に敷いたホワイトボードに落ちたダニを
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「もう、これは王を生かしておくだけだから……。他の群で女王蜂が突然居なくなったりした時のため、女王バンクは作っておいた方が良いのよ」
鈴木さんが養蜂技術の細やかな一端を小山さんに伝授する。
「先週の内検の時、ちょっと嫌な予感がしていたのよ。その予感を活かせなかった。予感がした時にはやり過ごしたら駄目だな。必ず何かが起こるから」
どうやら前回の内検の際に、鈴木さんは群に勢いが無くなっていることに気付いていたらしいが、その対策までは手が回らなかったのだ。そのため、このフェロモンが弱い女王蜂は女王バンクとして生かし、夏を越えた秋口に人為的なミスなどで突然女王蜂が居なくなるなどの緊急時に備えようとしているのである。
次の巣箱の内検が終わると、鈴木さんは巣箱の底から白いボードを抜き出して丹念に観察している。
女王バンクとして生かすために女王蜂を捕らえた手
「スクリーン・ボトム・ボードといって巣箱の底がメッシュ状になっていて、メッシュの下に白いボードが差し込んであるんです。メッシュになっているのは換気を良くして夏場の暑さ対策でもあり、ダニ対策でもあるんです。ダニは蜂同士のグルーミングなどで自然落下するんですよ。ボードにワセリンを塗っておくとダニは巣箱に這い上がれないので、ボードに落ちているダニの数をモニタリングして、ダニ対策を検討するんです。言ってみれば敵を知るということですかね。今までのダニ対策は駆除剤などの薬に頼っていたのですが、すでにダニに耐性ができているので効果が減ってきている。そこでIPM(Integrated Pest Management・包括的害虫管理)といって、これ以上増えたら駄目だよねというところまでダニが増えたら、女王蜂を隔離して産卵を3週間止めると、その間に幼虫と蛹は成虫になっていきますので巣箱の中は成虫だけ。その時にダニを駆除すると、最も効果が出ます。その時を狙って包括的にダニを駆除する。そのタイミングを計るのがモニタリングなんですよ」
勢いの弱い群と隣の群は合同することになった
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