2026年(令和8年9月) 91号

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将来を見据えた蜂場づくり

 「きみつのさんぽ道」の蜂場を出て、エアコンの効かない軽トラックの助手席に座ると、「次に行ってみましょうか」と鈴木さんは目的地も告げずに一時間ほども走っただろうか。細い農道を何度も曲がり軽トラックを停めたのは、背丈ほどのプルーベリーが規則正しく並ぶ農園の中の広場だ。丁度、ブルーベリーの実が熟し始めている。目の前には、腹を捌かれた猪が一輪車に載せられたまま放置されてあった。私はもう千葉県の何処にいるのか分からない。後に地図で調べてみると、木更津市真里谷(まりやつ)、房総半島中央部に近い山間地域だ。株式会社マリヤファームのブルーベリー農園だと説明する鈴木さんは、この会社の取締役を務めている。

 軽トラックを停めた広場のすぐ横に足場パイプで作った巣箱を置く台があって、巣箱が一つ載っているが、鈴木さんはそれには見向きもせずにブルーベリーの熟した実を選んで収穫を始めた。鈴木さんを撮影しながら一緒に移動していると、ブルーベリー園の一角に小さな池があることに気付いた。清々しさのある小さな池だ。その池を撮影していると、鈴木さんが説明を始めた。「蜜蜂にとってはきれいな水場が大事なので、この池のために投資したんですよ」。この池は蜜蜂のための人工池なのだ。ブルーベリー園の外れに、後ろの山から伐り出した樹齢20年足らずの杉が乱雑に積み上げてある。「杉を伐ってネズミモチやニセアカシアの苗を植えて蜜源を確保しようとしているんですけど、3年5年のスパンではなく、せめて10年のスパンで見ていかないと蜜源には厳しいですね」と鈴木さん。外来種のニセアカシアを蜜源として植えることの問題点は意識しながらも、将来を見据えた迷い迷いの蜂場づくりなのである。

 「ブルーベリーも蜂蜜も同じなんですけどね。生産して卸すのは限界だと思っていて、生産コストと市場価格が合わないんです。ブルーベリーはアメリカ・カリフォルニアから年間何百トンも入ってくる。蜂蜜も外国産が94%ほどにもなっていて市場価格はそれに引っ張られますからね。売る商売から体験事業ですよ。ここ(ブルーベリー園)でも法人の会員が自由研究に来て摘み取りや剪定をして楽しんで、お金を落としてくれる。蜂蜜屋からの脱却ですね。蜂蜜を商品として捉えていくと、拡大するしか方向はありませんから」

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